本の出版について
<患者さんが知りたい「リウマチ・膠原病」-専門医が語る完全ガイド->(現代書林)というタイトルで2011年4月に発売しています。開業医の立場から、最新のリウマチ・膠原病治療だけではなく、漢方、リハビリ、健康食品なども交えたできるだけ患者さん目線に立った解りやすい本に仕上がっています。きっと患者様の日々の生活や治療に役立つかと思いますので、どうぞご覧ください。
この本のお買い求めについては、当院と同じ京阪寝屋川市駅前の「ねやがわいちばんがい商店街」の中にあります「中村興文堂書店」で取り扱っています(地図はこちら)。 またインターネットでの購入も可能です。どうぞご参考になさってください。
この本に関するご質問などは、このホームページ内の「本に関するご質問コーナー」をご参照ください。尚、日々の診療に影響しますので電話、メールによるご相談は受けつけておりませんので、何卒ご理解の程よろしくお願い申し上げます。
2020年1月 院長
1.コラーゲンとはどのようなものですか?
コラーゲンは皮膚、血管、骨や腱(けん)、歯など生体のほとんどすべての臓器や組織に存在する線維状のたんぱく質で、生体の全たんぱく質の約30%を占めています。コラーゲンはこれらの組織や臓器の形を作ったり、補強したり、支えたりする役目をしています。特に皮膚では線維組織の約9割がコラーゲンで構成されています。
コラーゲンはたんぱく質ですので、アミノ酸がつながった物質です。
2.コラーゲンは食品中にも含まれているのですか?
コラーゲンは動物性食品に広く含まれている成分で、一般にコラーゲンを多く含む食材として、牛すじ、豚足、鶏手羽先、魚あら、小魚などがよく取り上げられています。
3.健康食品のコラーゲンはどのようなものですか?
全身の組織に含まれているコラーゲンを熱水で分解すると、ゼラチンができます。そのゼラチンの分子をさらに小さくしたもの(加水分解)がコラーゲンペプチドと呼ばれる物質で、これが健康食品などに使われているコラーゲンです。コラーゲンを飲んだり、食べたりすれば、一定時間後に体内でコラーゲン成分が増加することが解っています。
4.健康食品のコラーゲンはどのような効果がありますか?
まず骨、関節への効果として、骨密度や骨の代謝に良い影響を与えていることが論文で発表されています。関節の痛みや炎症に対しても効果があると言われています。皮膚に対しては、皮膚の保水力が上昇するという効果が証明されており、「肌がすべすべする」という表現は聞かれたことがあるかと思います。また毛髪を太くしたり、爪の変化(爪が脆(もろ)くなったり、二枚爪など)を改善したりするなどの報告もあります。そして指先の血流量を増加させるという論文報告もあります。
5.レイノー現象に対して本当に効果があるのでしょうか?
今までにコラーゲンとはどういうものか、健康食品としてのコラーゲンの効果は などについて述べてきましたが、この本の中で取り上げていますコラーゲンのレイノー現象に対する効果について述べてみたいと思います。
レイノー現象とは、本文中にも詳しく記載してありますが、指先の血流障害による変化(白や紫色に変化)を言います。
まず本文中に登場します「飲むコラーゲン」は、豚皮由来のコラーゲンペプチド100%の商品です。(魚由来コラーゲンペプチドについては試験をしておりませんので、比較はできません)。原料のゼラチンの摂取で指の血流量が改善するという報告もあることから、当院に通院中のレイノー現象陽性の強皮症患者様4名にご協力を頂き、数年に渡ってコラーゲンペプチドの効果判定を行いました。その結果、レイノー現象の改善が1名で認められ、指先の潰瘍が2名で改善されました。この結果については私が代表世話人を務めています北河内リウマチ膠原病勉強会で発表致しました。数名の患者さんの結果だけですので、断言はできませんが、試してみる価値はあるかと思います。
6.どのような理由(メカニズム)で効くのでしょうか?
指先の血流改善に関する論文はいくつか発表されていますが、それによりますとコラーゲンを構成しているある種のアミノ酸の成分に血栓(血の固まり)を抑制する効果があるという報告があります。ただこれだけでは指先の血流改善の証明には不十分ですが、今後色々な研究の成果を待ちたいと思います。
7.1回の服用量はどれくらいでしょうか? またどのように服用したら良いのでしょうか?
当院で服用して頂いた患者様には、1回10gの量で1日2-3回食事の時間を中心に食材に混ぜたり、スープや味噌汁に溶かしたりして服用して頂きました。(こくが出て美味しいとのことです) そのままお湯に溶かして服用することも可能ですが、たんぱく質ということもあり、このままでは臭いなどが気になってあまり美味しく頂けないかと思います。やはり食事に混ぜて頂くのが良い方法かと思います。現在では1回5gの量でもレイノー現象の再発が見られない方もおられますので、一般的には1回5gの量で1日3回食事時に服用する方法で良いかと思います。
8.副反応(副作用)はないのでしょうか?
一般的には、胸やけなどの胃腸の不快感、下痢、便秘など腹部症状が出現する可能性もあると言われています。またゼラチンアレルギーのある方では服用は無理ですし、腎臓の働きが悪いと言われている方も服用は無理かと思います。幸い当院で服用している患者様では副反応は一切認めていません。健康食品については、それぞれの方の体質や体調によって副反応は出現する可能性もありますので、服用可能かどうかは必ず主治医の先生とよくご相談されてから決めて頂くのが良いかと考えます。
9.膠原病に対して影響はないのでしょうか? また膠原病に対しても効果があるのでしょうか?
コラーゲンは日本語では「膠」という意味ですので、果たして膠原病患者さんに対して服用しても良いのかという疑問を持たれている患者様も多いかと思います。膠原病という意味は本の中でも詳しく述べていますが、皮膚の膠原線維に病変が起こる病気です。しかし当院での強皮症患者様においては、膠原病の悪化は全く認められませんでした。コラーゲンペプチドは先に述べましたように、関節や骨、皮膚に対しても効果が認められています。その意味で関節リウマチの患者様の中には、すでに健康食品として摂取されている方もおられると思います。ただ膠原病全体に対して良い効果があるという報告はなく、部分的な症状に対して効果が認められているという理解で良いかと思います。しかしそれでも膠原病の悪化が心配という患者様は、無理に服用しないことが肝心かと思います。やはりこの点も主治医の先生とよくご相談されてから考えて頂ければ良いかと思います。
10.どのように購入すれば良いのでしょうか?
当院へ通院中の患者様については、門前薬局(きららみらい薬局)で販売しています。(豚皮由来のコラーゲンペプチド100%の商品)
今回本をお読みになって購入希望という患者様については、きららみらい薬局のホームページから購入して頂くことが可能です。どうぞご覧ください。
またコラーゲンに関する参考論文をご覧頂くことができますので、どうぞご興味のある方はご参照ください。
「天然素材コラーゲンの機能性」皮革科学 56巻2号 71-79 (2010)
(財)日本皮革研究所所長 小山洋一 著
本文中に出てきますリハビリについて、リハビリ機器については当院ホームページ内のクリニックのご案内の中のリハビリ機器紹介をご覧ください。
本文中に出てきますドライマウス関連の項目については、当院と連携して治療に当たっています平成歯科クリニックのホームページをご覧ください。
本文中に出てきます「生物学的製剤」については、当院ホームページ内の関節リウマチ最新情報をご覧ください。