リウマチ・膠原病における夏季対策
リウマチ・膠原病の患者さんは、一般的には関節病変を中心に冬季の寒い時期に病状が悪化することが多いですが、暑い時期にも色々な注意点があります。以下の点に特に注意しましょう。
1) エアコンの冷えすぎに注意
まずはエアコンによる冷えすぎから関節が痛くなる患者さんが結構多く見られます。 特にリウマチ(関節リウマチ(RA))など関節の病気をお持ちの患者さんは、いわゆる「冷え」が大敵となります。特に夜間冷えすぎますと、朝起床時に全身がこわばって動けないとか体全体がだるいなどの症状が出現します。
夏季の夜間のエアコンの使用は仕方のないところですが、患者さんにお聞きしていますと皆さん結構工夫されています。まずは睡眠時にエアコンを使用しタイマーで夜間は切っておく、夜間連続使用でも除湿のみにするか28℃設定ぐらいのやや高めに温度設定をしておく、どうしても26-27℃設定にする場合は痛めている関節にタオルなどを巻いて眠るなどの意見が出ています。
朝エアコンの効きすぎでふとんをかぶって震えているなどということがないように注意しましょう。これは夏風邪の原因にもなりますのでご注意を。
最近は熱中症の問題がありますので、リウマチの患者さんも夏季は日中、夜間とも高めの温度設定でエアコンを使用して頂いてます。ただ冷えすぎによる関節痛の悪化も心配ですので、扇風機も上手に使いながらこの暑い夏を乗り切りましょう。
2) 紫外線にご注意を
膠原病の中で特に湿疹を伴う疾患では、夏季の強い日差しで病気が悪化するケースが時折見られます。特にHP内でもお示ししています全身性エリテマトーデス(SLE)では要注意です。
SLEの患者さんにはこの時期皆さんに直射日光をできるだけ避けるように指導しています。ただどこまで避ければ良いのかという質問を良く受けますが、まずは海水浴などで陽に焼けることは厳禁です。この時期残念ですが、SLEの患者さんはできるだけ屋外スポーツは避けなければなりません。ちょっとしたお買い物や外出時にも必ず帽子や日傘の使用を指導しています。車を運転される患者さんでは、運転時の腕などの日焼けにも注意してもらっています。
皆さんすでによく理解されていて、ほとんどは暑い日中は外出を控えて夕方などに買い物に出かけておられます。またUVカットのクリームなどをほとんど皆さん使用されています。せっかく安定している病状を悪くさせないためにもこのような工夫は必要です。
同じ注意が皮膚筋炎の患者さんについても言えます。紫外線によりもし病状が悪化した場合は、まずは顔を中心に紅斑のような湿疹が出現し、それと同時に38℃前後の熱が認められることが多いです。万一このような症状が出現した時はすぐに主治医の先生にご相談下さい。このように病状が悪化しないためにもどうかこの時期の紫外線に十分注意しましょう。
3) 感染症情報
膠原病やリウマチ患者さんはステロイドホルモン剤や免疫抑制剤などのお薬を服用されている方が多いので、体の抵抗力が落ちて感染し易くなっているケースがあります。
まずは夏風邪予防として、外出から帰宅時には必ずうがいと手洗いを励行して下さい。これだけでもかなり予防になります。
それから水疱を伴って痛みのある湿疹が肋間神経(ろっかんしんけい)などに沿って出現する帯状疱疹(たいじょうほうしん)と呼ばれるヘルペスウイルス感染症が少し流行っている印象があります。これは体が疲れている時や、膠原病患者さんなどでステロイドホルモン剤や免疫抑制剤を服用している時にたまに出現する湿疹ですが、もしちくっとした痛みのある湿疹(特に水疱)を見た時にはすぐに主治医の先生に相談して下さい。早期に適切に治療を行えば、それ程怖い病気ではありません。ただし痛みはしばらく残ることがありますので、注意深い経過観察が必要です。
このようにリウマチ・膠原病患者さんでは夏季も注意してもらいたい点が多々あります。食中毒などの胃腸の病気も起こりやすい時期ですから、主治医の先生とよく相談しながら体調管理には十分注意してください。