よくあるご質問
このページは患者さんからいただいた質問にお答えしていますものです。
- Q1
- 昨年の12月頃より左肩が痛くなり、まだ今も続いています。左手が上がらず、後ろにも回せません。五十肩のような気がするのですが、病院へ行った人、自然に治った人などいろいろなので、どうすればいいでしょうか?
- A
- 肩の関節痛にも種々の原因が考えられますが、帯を結びにくい、手が上に上がりにくいなどの症状があるときはやはり五十肩が考えられると思います。五十肩とは、40~50歳代に認められる「肩関節周囲炎」のことで、ある一定の時期が過ぎれば自然に軽快することも多いですが、“痛み”をがまんすることも大変ですので、当院では薬物療法(消炎鎮痛剤など)やリハビリ療法(温熱療法、レーザー治療(写真)など)を行い、かなりの症状の改善が認められています。
また肩の関節炎を引き起こすその他の原因(関節リウマチなど)のチェックも必要と考えますので、このような症状でお悩みの方は専門医にご相談下さい。
- Q2
- リウマチの家系です。自分も将来リウマチになるのでは・・・と心配です。リウマチと遺伝とは関係ありますか?また、自覚症状などがありましたら教えてください。
- A
- “リウマチ”とは正式には関節リウマチ(略してRA)のことで、日本での患者数は約50万人とも言われ、30~50歳代の中年女性に多い病気です。最近、ご質問のように家族内発症の例も認められ、遺伝的要因も考えられています。ただRAの家系だから皆発病するわけではなく、発症にはウイルス感染症(風邪など)による引き金が重要となってきます。
- Q3
- リウマチという病名はよく聞きますが、具体的にどういう症状のことを指すのですか? 関節が痛くなるということだけはわかるのですが、・・・。(枚方市 24歳 女性)
- A
- “リウマチ”とは正式には関節リウマチ(略してRA)のことで、30~50歳代の中年女性に多い病気です。RAの初期症状としては、両側性の手指、手関節の痛みと腫れが認められることが多いようです。「朝のこわばり」といって朝、起床時に指・手の関節がこわばり、力が入らず、衣服の離着ができない等の症状が特徴的です。
- Q4
- 最近よく骨粗鬆症という言葉を耳にします。中年女性による見られあると聞きましたが、自覚症状などあるのですか?
また、どのような検査で分かるのでしょうか?(枚方市 50歳代 女性) - A
- 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、全身の骨の中のカルシウム量(骨量)の減少によって骨がもろくなり、ちょっとしたことでも骨折しやすくなっている状態のことをいいます。
この病気は、高齢者、特に閉経後の女性に多く見られますが、偏った食生活や運動不足などによっても発生します。この病気の初期は、自覚症状が特にないことも多いのですが、病状が進行するに従い、腰痛や背部痛が認められます。
検査は、手のレントゲン検査1枚だけで簡単に骨量測定(写真)ができます。
- Q5
- 膠原病とリウマチの違いは何ですか? どちらも関節に関する病気だとはわかるのですが、これといった特徴などあるのでしょうか?(55歳女性)
- A
- 膠原病(こうげんびょう)とは、全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症が見られる病気の総称で、原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が共通してみられます。その中で湿疹が特徴の全身性エリテマトーデス(SLE)や筋肉の脱力感、痛みがくる多発性筋炎、皮膚が指先から硬くなってくる強皮症などほとんどの膠原病が難病特定疾患に指定されており、一部医療費負担免除の対象となっています。
関節リウマチ(リウマチ)はその膠原病の中の一種で、関節の痛みや腫れが特徴の病気です。血液検査でリウマチ因子が陽性に出るといった共通の特徴があり、治療では抗リウマチ薬などが使用されます。非常に診断、治療が難しい病気ですので、上記のような症状が疑われる方は専門医にご相談下さい。
- Q6
- 体の調子がすぐれず、37℃ぐらいの微熱が続いています。エアコンが原因なのかと思い、エアコンをつけずに寝たりしているのですが回復しません。夏かぜ以外の病気が考えられるのでしょうか?(40歳 女性)
- A
- 37℃ぐらいの微熱が続く場合、色々な病気が考えられます。このご質問のようにクーラー病などの夏かぜの場合は、体のだるさ、頭痛、せき、のどの痛みなどの症状を伴うことが多いです。お腹の痛みや下痢なども夏かぜの症状と考えられます。中耳炎なども夏期に多く見られる感染症です。
感染症以外の病気としては比較的まれですが、食欲がなくやせるなどの時は癌などの悪性の病気も考えられます。関節の痛みや湿疹が出るなどの時は、リウマチや膠原病(こうげんびょう)などの病気も考えられます。いずれにしても微熱が続く時は、かかりつけの先生にご相談下さい。
- Q7
- 母親がステロイド内服剤を処方され、3ヶ月ぐらい飲み続けています。副作用は出ていませんが、これから先飲み続けても大丈夫でしょうか? また服用するにあたって気をつけておいたら良いことなどありますか? (枚方市 25歳女性)
- A
- ステロイドと呼ばれるお薬は、正式には副腎皮質ステロイドホルモン薬のことで、色々な種類の病気に使用され、特に炎症を抑える目的で使用されることが多いのです。投薬方法には経口、注射、外用などがあります。
ご質問の患者さんがどのような病気かによって、これから先の飲み方が変わってきますが、私の専門領域である膠原病(こうげんびょう)の治療では最も重要なお薬の一つで、かなり継続して飲む必要があります。効果も十分期待できるお薬ですが、その反面副作用にも注意が必要で、顔が丸くなるなるなどの肥満や、体の抵抗力を弱らせたり(易感染性)、骨が弱くなったり(骨粗しょう症)などの症状があります。また急に服用を中止すると、その反動で病状が悪化することもあり、使用方法にも難しい面がありますので、専門医の指示に従って服用することが重要です。
- Q8
- 父親と兄が糖尿病の家系です。私もこの先糖尿病になるのではないかと心配です。遺伝は関係ありますか? また予防する方法や病気のことについて詳しく教えて下さい。(寝屋川市37歳女性)
- A
- 糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足するために、血液中のブドウ糖が細胞でうまく利用されなくなり、血液中のブドウ糖が異常に増加して尿に糖があふれでる病気です。大きく二つのタイプに分かれますが、成人に多いのは肥満を伴うことが多いインスリン非依存型糖尿病です。
原因としては、このご質問のように遺伝も関連あると言われ、片親が糖尿病の場合、その子供の30 %以上が糖尿病にかかると言われています。その体質にさらに病気を誘発する肥満や過食、ストレスなどの環境因子が加わって発病すると考えられています。症状としては、のどが渇く、尿が多くなる、体がだるいなどですが、合併症としての眼、腎臓、神経などの症状として眼がかすむ、手先がしびれるなどもあります。
予防法としては、まずは食事療法です。一日の必要カロリーをよく知り、適当な摂取カロリーの食事に制限することが最も重要です。さらに適度な運動も大切です。
それでも血糖値が下がらない場合は薬物療法になり、内服薬とインスリンによる注射があります。お薬の使用については、各主治医の先生と十分に相談することが大切です。(当院でも糖尿病予防にとって最も重要な食事指導を行っています。)
- Q9
- 血液中のコレステロールが高く、お薬をかなり以前から飲んでいます。最近コレステロールの数値を下げすぎるのも良くないと聞きましたがどうなんでしょうか? コレステロールについて教えて下さい。 (寝屋川市 58歳女性)
- A
- 血液中のコレステロール値が高いと何が危険か・・・この答えを十分に理解している患者さんは実は少ないかもしれません。血液中のコレステロールの量が多くなると、動脈硬化が起きやすくなり心筋梗塞などの病気が起きる危険が高まります。
つまり動脈硬化の発生を予防するためにコレステロール値を下げておくのが望ましいと言えます。ただそれにはお薬だけに頼るのではなく、まずは食事、運動療法が最も大切です。『お薬を飲んでいるから何を食べても良い』という考え方では 動脈硬化は防げません。喫煙やストレスなども動脈硬化の危険因子として重要です。
御指摘の数値については、目安は220 mg/dl以下と言われていますが、最近では心筋梗塞を起こす危険因子が少なければ、 240 mg/dl以下を目標にしても十分であると考えられています。コレステロール値が急100 以上下がる場合は下がり過ぎの可能性もありますので、各主治医の先生と御相談下さい。
またコレステロールの中にも善玉のHDLや悪玉のLDLコレステロールなどがあり、各患者さんにとって適切な数値は皆それぞれ違いますので、主治医の先生と十分に相談のうえ、お薬を服用することをおすすめします。
- Q10
- 血圧が高いと言われてお薬を飲んでいます。一度飲んだら止められないのでしょうか? どれくらいの血圧が丁度良いのでしょうか? 血圧について教えて下さい。(枚方市 48歳女性)
- A
- 『血圧の上が150、下が80』などとよく言いますが、上の血圧を収縮期血圧、下の血圧を拡張期血圧と呼び、その差が大きいことが特徴の病気や、拡張期血圧が高いのが特徴の病気など様々です。
高血圧の基準として、以前は160/95mmHg以上と言われていましたが、最近はその基準が厳しくなってきています。正常血圧を130/85以下とし、140/90以上を軽度の高血圧と設定しています。
血圧が高いとなぜ怖いかと言いますと、やはり動脈硬化による脳血管障害(脳出血、脳梗塞など)の発病頻度が高くなるからです。動脈硬化の危険因子としては、肥満、喫煙、ストレスなど他にも色々ありますが、高血圧は高脂血症、糖尿病と並んで3大危険因子と考えられています。
血圧のコントロールには、高脂血症や糖尿病の時と同様に、まずは塩分制限などの食事療法と適度の運動が大切と考えますが、それだけでは不十分で頭痛やふらつきなどの症状が出現する時は、やはりお薬が必要と考えます。 血圧のお薬に対しては、止める時のことを心配するよりもまずは今飲まないと脳の血管の病気が発生するかもしれない危険性の方を重視してほしいと思います。必要だから服用するということで、下がりすぎることがあれば普通中止しています。
ただ一つ、病院に来られると緊張して、血圧が上がるという患者さんもおられますので、自宅で決まった時間帯に血圧を測定することも重要です。血圧に対するお薬は色々な種類がありますから、各患者さんに合ったお薬を主治医の先生から処方してもらうことは大切なことと考えます。
- Q11
- 健康診断で血液中の尿酸値が高いと言われました。痛風にも関係すると聞きましたが、どのような注意が必要なのでしょうか。尿酸や痛風について教えて下さい。 (寝屋川市 42歳男性)
- A
- 痛風は、血液中の尿酸濃度の高い状態(7.0-8.0 mg/dl以上)が長く続いた後に、尿酸が関節炎を起こしたり、腎臓が侵されたりする病気です。
痛風はある日突然、足の親指の付け根の関節が赤く腫れて痛み出し、約1週間持続します。これを痛風発作と呼び、繰り返しているうちに足首や膝の関節まで痛みや腫れが進行してきます。また関節の症状だけでなく、腎臓などの内臓が侵されるようになってきます。
痛風は、栄養状態が良くなると増えます。最近増加傾向にある背景には、食事内容が欧米化し、動物性蛋白の摂取量が増えたことやビールなどの飲酒量が増えたことが原因とされています。予防としては、食事療法が大切で、水分を多めに取り、ビールやウイスキーを少なめにし、牛肉の摂取を少なめに野菜を多めに取ることが大切です。
治療薬としては、ザイロリック、ユリノームなどのお薬がありますが、各主治医の先生とよく相談することが大切です。
- Q12
- 最近よく咳が出ます。熱もなく、体もそれ程だるくないのですが、 何か悪い病気でもあるのではと心配です。原因は何でしょうか? (枚方市 45歳男性)
- A
- 咳が持続する時には、痰も一緒に出るのか、どのような時間帯や場所で出るのか、胸の痛みなどはあるのか等が重要な所見となります。一般的に咳の原因で最も多いのは急性上気道炎(いわゆる風邪)で、発熱を伴うことも多いです。
このご質問のように熱を伴わない場合には、アレルギー性の咳も考えられます。ある一定の場所で決まって咳が出るようであればその可能性が高いです。タバコを吸っている場合には、慢性に咳や痰が出ることも多いです。夜間や明け方にゼーゼーという呼吸音とともに咳が続く場合には、喘息も考えなければなりません。その他血痰が混じる場合などは、悪性の病気や最近再び増加傾向にある肺結核なども疑う必要があります。
診断をつけるためには、まず胸のレントゲン検査が重要で、それで何か異常が疑われるとCT検査などを行います。痰が出る場合には菌の培養検査や、悪性細胞の有無などを検査します。いずれにしても咳が続く場合には、かかりつけ医に相談することが大切と考えます。
- Q13
- 立ちくらみがあったため、病院で検査したところ軽い貧血があると言われました。しばらく様子を見ましょうと言われましたが大丈夫でしょうか。貧血について教えて下さい。(枚方市 24歳女性)
- A
- 貧血の原因で最も多いのは、鉄分が不足する鉄欠乏性貧血です。特に女性の貧血ではよく認められ、特に内臓の病気がなく、月経の影響だけで起こることもあります。
胃潰瘍などによる消化管の出血や、子宮筋腫などの婦人科の病気でも鉄欠乏性貧血が認められます。また初期の大腸癌などの悪性の病気でも鉄欠乏性貧血がみられることがありますから、検診などで貧血を言われた場合は、医療機関に相談して胃や腸のバリウム検査などを受けることも重要です。
治療としては、軽度の場合は、食事療法(野菜の摂取など)などで経過観察する場合も多いですが、立ちくらみやめまい、動機などの貧血症状を伴う場合は鉄剤を服用することもあります。さらに重症となれば輸血も必要です。その他の特殊な貧血としては、溶血性貧血、悪性貧血、再生不良性貧血など、様々な病気に合併して起こる貧血もあります。また白血病などの血液の癌に合併して起こる貧血もあります。簡単な定期検診で判かる検査ですから、特に女性の方は普段からチェックしておくことをお勧めします。
※これらは地元のミニコミ誌「ぱどくたぁ」に掲載されたものを中心に加筆修正し、編集したものです。