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膠原病Q&A

目次

1.膠原病(こうげんびょう)とはどのような病気ですか?

膠原病(こうげんびょう)とは、全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症が見られる病気の総称で、原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が共通してみられます。女性に多く見られる病気で、比較的若い女性の不明熱(原因不明の発熱)として発見されることが多いです。SLEリウマチなど数種類の病気が含まれています。

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2.膠原病はどのような人に出てくる病気ですか?

以前は原因不明の病気として扱われていましたが、最近様々な研究が進むようになり、少しずつその原因も解明されるようになってきました。HLAと呼ばれる人間の遺伝子の研究が進むようになり、一部の膠原病では遺伝的な要因も考えられるようになってきました。

ただ遺伝的な要素だけでは発病せず、膠原病の発病には色々な環境因子と呼ばれるものが重要です。具体的には、風邪ひきなどのウイルス感染症が引き金となって発病したり、夏の海水浴や冬のスキーなど紫外線の影響を受けて発病するこも多いようです。食事内容やアルコール、たばこなどは直接発病には関係ないと考えられています。

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3.膠原病に特徴的な体の変化はあるのですか?

原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が見られた場合、まずは膠原病に特徴的な徴候があるかどうか全身の診察を行います。 脱毛、口内炎などもある種の膠原病には特徴的な所見です。共通して見られる徴候としては、冷たい水につけたときや冬の寒い朝に手足の先が白く変化し、しびれなどの症状が見られる徴候があります。これをレイノー現象と呼び、手足先などの循環障害が原因と考えられています。

また眼や口の中の渇き(乾燥症状)や握力の低下、手指のしびれ、爪の変形なども膠原病の重要な徴候であることもあります。関節の痛みや腫れについては、どの場所の関節が腫れているかによって、リウマチかそうでないかなど診断が異なってきます。湿疹については、ほとんどの膠原病で見られ、それぞれの膠原病に特徴的な名前のついた湿疹がありますので、専門医の診察が必ず必要です。

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4.膠原病の診断は血液検査で行うのですか?

全身の診察により膠原病が疑われますと、次に血液検査を行います。一般の白血球数やCRP、赤沈などの炎症反応と呼ばれる検査でもある程度の診断は可能ですが、膠原病の確定診断には特殊な抗体検査が必要となってきます。

膠原病全体で陽性率が高い抗核抗体と呼ばれる検査が最も重要です。それぞれの膠原病の診断には、さらにリウマチ因子が陽性かどうか、抗DNA抗体検査が陽性かどうかなどかなり専門的な検査が必要です。また貧血があるかどうか、筋肉の炎症をあらわす検査(CPKなど)の数値が上昇しているかどうかなども重要です。さらに膠原病の診断には、血液検査以外にレントゲン検査も重要です。リウマチなどでは、手のレントゲン検査により診断をつけたり、SLEなどでは胸部のレントゲン検査により診断の手助けにしたりなどと活用しています。尿検査で蛋白尿、血尿がないかどうかも重要な所見です。このように膠原病は全身の病気ですので、確定診断には血液検査だけでなく、色々な検査が必要となってきます。

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5.膠原病の治療はどのように行うのですか?

膠原病の種類により治療法は異なりますが、全般的には副腎皮質ステロイドホルモンを使用することが多いです。一般的にステロイド治療と呼ばれているもので、各病状に応じて薬の使用量を決定します。通常は少し多めの量から治療を開始し、徐々に減量していきます。膠原病の種類によっては劇的に効く例もありますが、使用方法などが難しいため、治療経験豊富な専門医の指導が必要です。

ステロイド治療は効果も十分期待できますが、その反面副作用にも注意が必要です。 不眠、便秘、脱毛、にきび、肥満(特に顔が丸くなる)などのホルモン作用による影響の他に、長期に服用していると高血圧、糖尿病、高脂血症などのいわゆる生活習慣病と呼ばれる病気を併発したり(これらの病気についてもこのホームページの中で紹介しています。)、骨を弱らせたり(骨粗鬆症:こつそしょうしょう)、体の抵抗力が弱くなり感染症にかかりやすくなったり等の副作用が出現することもあります。それだけこのお薬を使用する時には細心の注意が必要です。

その他にリウマチに対する抗リウマチ薬など、それぞれの膠原病の種類に対して特徴的な治療法がありますが、最近では色々な免疫抑制剤と呼ばれるお薬も使用するようになってきています。かなり効果を発揮する免疫抑制剤もありますが、やはり副作用には十分な注意が必要です。副作用がほとんどないという点からは、膠原病に対する漢方治療も最近注目されています。 さらに今後リウマチを中心に、移植治療などのさらに進んだ治療法が現在研究中で、今後このホームページの中で紹介していきたいと思います。

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6.膠原病の治療に公費負担の制度があると聞きましたが、どのような手続きが必要でしょうか?

膠原病の中には、非常に難病なため頻回に行う検査や、治療に対して患者さんの負担がとても大きくなるケースがあります。そこで国や地方自治体が、指定した難病疾患に限り費用の一部負担金免除という制度を設けています。

これが難病特定疾患制度で、膠原病の中では、SLE筋炎など数種類の病気が指定されています。手続きは、地元の保健所に所定用紙が設置されており、それを主治医が意見書として記載し提出すれば認定されます。ただしこの意見書の記載には、かなり専門的な項目もありますので、膠原病・リウマチの専門医が記載することが望まれます。

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7.膠原病は完全に治る病気でしょうか? また先で悪くなることはないのでしょうか?

残念ながら、現在のところ膠原病は完全に治癒してしまう病気ではありません。私の経験でもはっきり診断のついた膠原病の患者さんで症状、血液検査ともすっかり安定し、ほとんど治ってしまった患者さんは一人だけです。(もちろん現在薬も服用せずにです)

ただ少量のステロイド薬を服用しながら、安定した状態で生活できている患者さんは多数おられます。定期的に診察に来られて、服薬をきっちりと行っている患者さんは、仕事や家事も難なくこなしておられます。その反面、しばらくお顔を拝見していないなと思っていた患者さんが、その間薬をのむのを自己判断で中止してしまい、高熱を出して救急車で運び込まれるというケースも多数経験しています。特にステロイド薬は、少量でもきっちりと服薬していれば効果が出ますが、自己判断で中止してしまうと、その反動で病状が数倍悪くなることがあります。副作用が気になったための結果ですが、このお薬は必ず専門医の指示に従って減量してゆくことが大切です。

しかし、きっちりとお薬を服用し、安定した状態を維持していても、ちょっとしたきっかけで突然病気が悪化することもあります。その原因としては、疲労が重なっていたり、風邪をひいてしまった後や、日焼けをした後などに発熱や湿疹が出現するケースもあります。季節的に冬になり、寒くなると悪化する膠原病もあります(強皮症など)。悪化しないようにうがいや手洗いなどで風邪を予防することや、帽子や日傘などで直射日光を避けるなどの予防は皆さん行っていますが、運悪くもし病状が悪化した時は、速やかにお薬の増量が必要となります。さらに肺、心臓、腎臓などの合併症が出現した時には、重症例として入院によりステロイドパルス療法(点滴によるステロイド大量療法)が必要なケースもあります。しかし、専門医によるきっちりとした治療を受けていれば、このようなケースでも元の状態に回復することがほとんどです。ただし、状態の安定している患者さんでも、悪化することがあるということは覚えておく必要があるでしょう。

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8.膠原病の患者さんでも妊娠、出産は可能なのでしょうか?

膠原病は特にSLEを中心として若い女性に多く見られることから、妊娠、出産の問題がからんでくるケースが多いです。結論から言いますと、条件さえ満たしていれば十分可能です。その条件とは、膠原病の種類にもよりますが、代表的なSLEの場合ですと、まず腎臓の合併症がないことが最も重要と考えます。かなりの蛋白尿が認められる場合は無理はできません。もちろん大量のステロイド薬を服用中で、病状も安定していないケースでは許可はできません。

妊娠許可の条件は、各施設や各先生方でまちまちですが、私の場合はステロイド薬が少量(プレドニンで10mg以下程度)で、症状、血液データとも安定している患者さんには妊娠を許可しています。ただし流産の可能性は健常な人と比べれば高いことを理解してもらいながら、婦人科の先生と綿密に連絡を取って管理しています。ステロイド薬(プレドニン)は胎児に影響することはないと考えられていますので、普通は中止せずに継続して膠原病の状態を安定させています。また流産予防に抗血栓治療を併用するこも多いです。

妊娠中は見かけ上膠原病は安定していることが多く、無事出産した後に母親本人の病状が悪化するケースもありますので、厳重な注意、観察が必要です。胎児に対する影響としては、お薬の影響はまず心配なく、特殊なケースとして胎児の心臓に影響を与えるケースもあります(ある種の抗体が陽性の時)。新生児ループスといって湿疹などが出現するケースもありますが、私の経験では、今までのところほとんど無事に出産されています。ですから膠原病の患者さんでも、しっかりとした治療を受けていれば妊娠、出産も十分可能ですから希望を持って下さい。

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9.全身性エリテマトーデス(SLE)とはどのような病気ですか?

SLEは膠原病の中の代表的な病気で、発熱(37-38℃程度)、関節の痛みや腫れ、顔や手などの湿疹などが主な症状です。男女比は1:9で女性に圧倒的に多く、比較的若い女性(20-30歳台)に多く見られます。日本では現在数万人の患者さんがおられます。発病のきっかけとしては、直射日光の暴露など紫外線が原因ということが多く、その対策が重要となってきます。

また最近遺伝的な要因も考えられています。 確定診断は特殊な血液検査項目(抗核抗体など)で行い、診断がつくと難病特定疾患の指定を受けることができます。この制度により一部医療費負担免除を受けることができます。治療は副腎皮質ステロイドホルモンがよく効きますが、腎臓、肺、神経などに合併症が見られますと難治性となり、ステロイド大量療法や免疫抑制剤の投与が必要となります。通常はステロイド薬の少量投与で安定した状態が持続しますが、風邪ひきや紫外線などにより病気が急に悪化することもあり、普段からの予防が大切です。

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10.関節リウマチ(RA)とはどのような病気ですか?

一般的にリウマチ(RA)と呼ばれている病気で、膠原病の中の一種です。全身の関節、中でも手、膝などよく動かす関節の痛みや腫れが左右対称性に見られる病気です。日本では約50万人の患者さんがおられ、男女比は1:3-4で女性に多く、30-50歳台の中年女性に多く見られます。『朝のこわばり』という症状があるように、午前中に関節の痛みや腫れが強く、午後から徐々に具合が良くなってくるのが特徴です。 患者さんの数が多いため、難病特定疾患の指定は受けられません。

RAは主に関節の病気ですが、肺や腎臓などの内臓障害や、全身の血管の病気を合併した場合は悪性関節リウマチと呼ばれる重症型となり、難病特定疾患の指定を受けることができます。確定診断は、症状、血液検査でリウマチ因子の証明、レントゲン検査での関節評価などで行います。治療は、薬物療法、手術、リハビリの3本柱で行います。内科的にはお薬による治療が中心で、痛みに対する消炎鎮痛剤の使用や、抗リウマチ薬と呼ばれるRAの活動性を抑えるお薬を中心に治療を行います。RAの活動性が強い場合などは、副腎皮質ステロイドホルモンの少量投与が効果的なこともあります。また最近は生物学的製剤と呼ばれる抗サイトカイン療法も使用されるようになり、劇的な効果発現が認められています。いずれにしてもRAに対する治療薬は多くの種類があり、専門医による管理が必要と考えます。 薬物療法でも関節の痛みや腫れが抑えられない時や、変形が強くなってきた時には整形外科医により手術が行われます。手術後のリハビリも非常に重要で、このようにRAの治療、管理は複数の専門医により連携して行われることが望まれます。

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11.多発性筋炎/皮膚筋炎とはどのような病気ですか?

筋肉に炎症が出現する膠原病は、筋炎と呼ばれています。そのうち、顔などに特徴的な湿疹を伴うものを皮膚筋炎、湿疹を伴わないものを多発性筋炎と呼んでいます。症状としては、急に力が入らない、和式トイレができない、階段の昇降が困難などの筋肉症状が見られます。激しい筋肉痛を伴うこともあります。日本に約6,000人前後の患者さんがおられ、男女比は1:2ぐらいで女性にやや多く、年齢は40歳前後が多いと言われています。

診断は血液検査で筋肉の酵素の上昇(普通CPKと呼ばれる検査項目です)が見られ、筋電図という検査や筋肉の組織検査などで行います。この病気も難病特定疾患の指定になっています。治療はやはり副腎皮質ステロイドホルモンにより速やかに症状が改善しますが、将来的には再発することも多い病気です。高齢の皮膚筋炎の患者さんでは、悪性疾患の合併にも注意が必要です。

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12.強皮症(きょうひしょう)とはどのような病気ですか?

手の指先から皮膚が硬くなってくる病気を全身性硬化症(強皮症)と呼びます。初期には手の指がむくんだ感じで始まることが多く、やがて手指全体が硬くなってきます。さらに進行すると腕全体が硬くなり、顔や首あたりも硬さが見られるようになります。口が開けにくくなったり、食べ物を飲み込みにくくなったりなどの症状も現れます。その他に冷たい水や冬の寒い朝に手足の先が白く変化し、しびれなどの症状が見られる徴候があります。これをレイノー現象と呼び、手足先などの循環障害が原因と考えられています。

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強皮症では、このレイノー現象がほぼ100%の患者さんで認められます。強皮症の患者さんは、ある程度安定した状態で経過することが多いですが、肺の合併症として肺線維症(肺が硬くなり膨らみにくい状態となる)が見られると咳、痰などの症状とともに呼吸困難を生じることもあります。悪化しないためにも定期的な胸のレントゲン撮影が必要となってきます。治療としては皮膚の硬さを防ぐ有効な治療は確立されていませんが、副腎皮質ステロイドホルモンがある程度むくみや硬さを和らげてくれる可能性があります。またレイノー現象に対して血管拡張剤のお薬や注射もある程度有効です。胸やけなどの食道症状を訴える患者さんも多く、食道、胃などを保護するお薬も強皮症患者さんではほとんど皆さん服用されています。難病特定疾患の認定があり、治療費は一部公費負担となります。

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13.シェーグレン症候群とはどのような病気ですか?

唾液が出にくくて食べ物がのどを通りにくいだとか、、目が乾いてころころと異物感がするなどのいわゆる乾燥症状が特徴の病気です。また虫歯が治りにくいという症状で始まる患者さんも多く見られます。患者さんの約90%は女性で、40歳台が発病のピークと考えられています。

他の膠原病との合併が多く、特に関節リウマチとは約40-50%の確率で合併すると言われています。診断は血液検査で抗核抗体陽性とシェーグレン症候群に特徴的な抗体(抗SS-A抗体、抗SS-B抗体)が陽性に出現し、さらに耳鼻科的に耳下腺の造影や唾液腺の組織検査などにより行います。

治療は今まで有効なものがなく、うがいをしたり、目薬を使用したり、人工唾液を使用したりと症状を少し緩和するだけのものでしたが、今年の秋から唾液の出を促進させる可能性のある飲み薬が認可され、シェーグレン症候群の患者さんには期待されています。尚この病気は平成27年から難病特定疾患の認定を受けれるようになりました。

またこの病気については、当院近くの平成歯科クリニックと共同で診療に当たっています。

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14.ベーチェット病とはどのような病気ですか?

膠原病の中では遺伝的な要素(HLA-B51)が強いと言われている病気で、体の粘膜、皮膚、眼を中心に炎症が見られます。膠原病の中では珍しく男性にも多く、男女比はほぼ1:1です。

主な症状は、口の中に痛い潰瘍(アフタ)ができ、手足を中心とした皮膚に痛い湿疹ができます。また陰部にも痛みを伴った潰瘍ができます。眼はぶどう膜炎と呼ばれる炎症性の病気が出現し、手術が必要となることもあります。神経や血管、腸に合併症が見られることもあり、その場合は副腎皮質ステロイドホルモンにより治療を行います。眼の症状がなければ比較的安定した病気ですが、再発することが多く、一度症状が改善しても油断はできない病気です。この病気も難病特定疾患に属しています。

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15.混合性結合組織病とはどのような病気ですか?

非常に難しい病名がついていますが、前に詳しく説明しましたSLE多発性筋炎強皮症の症状や検査所見が部分的に混在していることからこの病名がついています。難病特定疾患扱いとなっている病気です。

SLEと同様に圧倒的に女性に多く、比較的若い年齢層が中心です。主な症状は、強皮症のところで説明しましたレイノー現象がほぼ100%に認められ、手の指がソーセージ様に腫れるのも特徴です。その他部分的に多発性筋炎SLEの症状が認められ、血液検査で特殊な抗体(RNP抗体)が陽性に認められます。治療は副腎皮質ステロイドホルモンが非常に良く効き、良好な経過を示すことが多いですが、肺高血圧症という病気を合併した時は重症となり、大量のステロイド薬が必要となります。

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16.血管炎と呼ばれる病気には、どのような種類がありますか?

動脈を中心とした血管の炎症が見られる病気で、太い動脈が炎症を起こすと大動脈炎症候群と呼ばれる病気があります。別名『脈なし病』とも呼ばれ、手首の脈が触れなくなる病気です。大動脈炎症候群の時よりも少し細い血管に炎症が見られる病気として、結節性動脈周囲炎や、ウェゲナー肉芽腫症などと呼ばれる難しい病名のついた血管の病気があります。上に示したいずれの病気も非常に難病で、難病特定疾患の指定を受けています。

共通して見られる症状としては、発熱やだるさなどの全身症状と、手足先のしびれなどの神経症状、皮膚症状などが多く見られます。肺(血痰、咳など)や腎臓(血尿など)に病気が見られることも多く、透析などの特殊治療が必要な場合もあります。一般的には、大量のステロイド薬が必要となることが多く、一部免疫抑制剤が必要なこともあります。少量のステロイド薬で安定した状態を維持できている患者さんも多く、肺や腎臓の合併症を少しでも早くチェックするために、定期的な尿検査とレントゲン検査が必要となってきます。

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17.サルコイドーシスとはどのような病気ですか?

原因不明の難病で、全身の色々な臓器に『類上皮細胞肉芽腫』というかたまりができる病気です。悪性の病気ではなく、また他人に感染する心配はありません。遺伝はあまり関係がないと言われています。病気の起こる頻度の高い臓器は、肺、眼、皮膚、胸のリンパ腺などです。

症状としては、皮膚の結節や隆起、眼のぶどう膜の炎症、首のまわりのリンパ腺の腫れなどが多いです。肺は病気の頻度は高いですが、初期は無症状のことが多いです。病気が進行してくると、不整脈などの心臓合併症が認められ、ペースメーカーを装着している患者さんも多いです。その他手足先のしびれや筋肉痛などの神経、筋肉症状も認められることがあります。

診断としては、血液検査で、アンジオテンシン変換酵素(ACE)と呼ばれる検査が、この病気の活動性を表していると考えられています。胸のレントゲン検査やCT検査なども重要ですが、確定診断としては、皮膚などの組織検査が最も重要です。診断されると難病特定疾患の適応を受けることができます。

治療としては、無治療で経過観察するケースも多いですが、肺や心臓の病気が認められる時は、副腎皮質ステロイドホルモン剤を使用することが多いです。経過としては、自然に治癒するケースも多く認められますが、肺や心臓の重い病気を合併すると、治療に難渋することもあります。普段の生活では、食事に特に制限はなく、なるべくストレスを避けるということに注意すれば良いと思います。

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