クリニックからのお知らせ
関節リウマチ最新情報
2020年01月26日 13:00最近の関節リウマチの治療は、関節破壊を防ぐためにいかに早期から効果の強いお薬を使うかという考え方になっています。
そこで最先端の治療法である生物学的製剤とJAK阻害剤についてご案内致します。
【1】生物学的製剤
患者さんの中にはよくご存知の方も多いと思いますが、関節リウマチの薬物療法は年々進歩しており、新しい薬の開発も進んでいます。従来の抗リウマチ薬に加えて『サイトカイン阻害薬』というお薬が注目されています。 サイトカイン阻害薬は、免疫に関わる物質の中で関節に炎症を引き起こす『炎症性サイトカイン』の働きだけを抑えます。現在、日本では次の8種類のサイトカイン阻害薬が使われています。
1)インフリキシマブ(レミケード)
抗リウマチ薬のメトトレキサートだけでは十分な効果がない場合に併用されます。点滴で用いられ、初回に点滴した後は2週間目と6週間目に点滴し、以後8週間に一度点滴が行われます。点滴開始時は、副作用の心配もあるため、通常病院で入院にて施行されます。ただ当院ではこの製剤は扱っていません。
2)エタネルセプト(エンブレル)
従来の抗リウマチ薬では十分な効果がない場合に使用されます。1週間に2回皮下注射で行い(1週間に1回のタイプもあります)、医師が認めれば患者さんが自分で注射することも可能です。通院 回数が多い点が難点ですが、より安全性が高く比較的簡単に施行できる皮下注射であるため、診療所でも十分可能な注射です。当院でも約10名程の患者さんが この治療を受けておられます。ほとんどの患者さんは非常に効果があり、関節リウマチ独特の体の疲れや朝のこわばりなどが軽減され非常に喜んでおられます。
3)アダリムマブ(ヒュミラ)
2)のエンブレルと同じTNF-α阻害薬と呼ばれる製剤で、2週間に1回皮下注射を行います。エンブレルと比較して注射回数が減ったため、忙しくお仕事をしておられる方々には朗報のお薬です。ただ注射部位の痛みがやや強い点とお薬代がやや高くなったことが難点です。当院でもエンブレルからの変更を希望されて、数名の方がこの製剤を受けておられます。
4)トシリズマブ(アクテムラ)
1)- 3)の製剤がTNF-α阻害薬と呼ばれるお薬であるのに対して、このアクテムラはIL-6受容体阻害薬と呼ばれる異なった薬理作用を持つ点滴の製剤です。1か月に1回だけ点滴(約1時間かけて)をすれば良い製剤ですので、当院でも遠方から来られている患者様や、忙しくてなかなか来院できない患者様に使用しています。炎症反応を見る検査項目のCRPを急速に低下させる作用があり、ほとんど皆さんCRPは陰性化しています。関節の痛みや腫れなども改善されて、とても画期的なお薬と考えられます。また2週間に1回使用する皮下注射製剤も発売されており、自己注射も可能です。当院では点滴、皮下注射を合わせて約40名に使用しています。
5)アバタセプト(オレンシア)
関節リウマチにおける炎症発生の上流に位置する抗原提示細胞とT細胞間の共刺激シグナルを阻害することでT細胞の活性化を調節し、下流の炎症性サイトカインなどの産生を抑制するお薬です。つまり従来のサイトカイン阻害薬よりも、さらに上流部分で抑えることができるお薬です。
約30分程度の点滴で、初回投与後4週以降は1ヶ月に1回の点滴で治療が可能です。2010年9月に発売された製剤で、従来のサイトカイン阻害薬であるアクテムラと同じように、月1回の点滴で治療が可能であることから(さらに点滴時間も短縮)、仕事が忙しくてなかなか通院が困難な患者様には朗報の治療薬かと思います。価格は従来のサイトカイン阻害薬とほぼ同じ設定です。
さらに1週間に1回使用する皮下注射製剤も発売されており、自己注射も可能です。
6)ゴリムマブ(シンポニー)
2011年7月に国内で認可されたヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体で4週間に1回の皮下注射製剤です。従来から使用されているレミケードの皮下注射版といった薬剤です。レミケードは点滴時間が長いため当院では行っていませんが、この製剤は月に1回の皮下注射で良いため、忙しくされている方には朗報の薬剤かと思います。さらに2019年からは自己注射も可能となっています。
7)セルトリズマブペゴル(シムジア)
2012年12月に国内で認可されたTNFα阻害薬で、「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」を効能、効果として、作用の持続性のためにPEG化した製剤です。2週間に1回の皮下注射製剤で、自己注射も可能です。
8)サリルマブ(ケブザラ)
2018年に発売されたIL-6受容体阻害薬(アクテムラと同様)で、既存治療で効果不十分な関節リウマチに対して使用可能な製剤となります。2週間に1回使用する皮下注射製剤で、自己注射も可能です。
このサイトカイン阻害薬という最新のお薬はリウマチ患者さんにとって画期的なお薬と考えられます。ただ価格が高いことと、頻回に受診してもらわないといけ ない点が、患者さんも導入に迷われるところかと思います。ただ上記4),5),6)のお薬の登場と、2)〜 8)の製剤に全て皮下注射製剤(自己注射も可能)が発売されたことにより受診回数を減らすことが可能となり、この製剤を使用する患者様が飛躍的に増加しています。しかし副作用には注意する必要があります。最近は当院でも肺炎合併例が数例出現し、幸い入院治療により改善しましたが、特に感染症には注意が必要です。結核合併例の報告もあるため、当院でも全例抗結核剤の投与を行っています。
【2】ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤
2013年7月より発売となったJAK阻害剤は、ヤヌスキナーゼを阻害することにより、JAK経路を利用する複数のサイトカインのシグナル伝達を同時に阻害するという新しい作用機序を有する薬剤で、注射製剤ではなく内服薬であるということが画期的な点です。
「生物学的製剤の飲み薬版」と言った印象で、注射が苦手な方や注射で皮膚にアレルギー反応が出る方には朗報の薬剤です。
非常に早く効果が発現する薬剤で、当院では主に生物学的製剤が無効になった患者様に使用しています。ただ帯状疱疹(ヘルペス)の合併が生物学的製剤より高い頻度で認められるため、やはり感染症の合併には注意が必要です。当院では以下の2種類の処方を行っています。患者様には他の内服薬と同様に薬局でお薬をもらうことになります。ただ新しいお薬ですので価格は高く、3割負担の方で1ヶ月に約4万円のお支払いが必要です。当院では現在約10名の患者様に使用していますが、ほとんどが難病特定疾患などの公費負担制度が受けられる方に使用しています。
1)トファシチニブクエン酸塩(ゼルヤンツ)錠
1錠5mgを1日2回経口投与のお薬です。
2)バリシチニブ(オルミエント)錠
1錠4mgを1日1回経口投与のお薬です。
今後さらに何種類かのJAK阻害剤が発売される予定です。
最近の関節リウマチの治療はなるべく早い時期から効果が十分期待できる抗リウマチ薬を使用して関節の破壊を防ぐことが重要と考えられています。そこで当院でも内服薬としてはメトトレキサート(MTX 週1回内服)を積極的に使用し、さらに生物学的製剤やJAK阻害剤をなるべく早期にお勧めしています。
価格が高いということでこのような新しいお薬が使用できなかった患者様が関節破壊、骨破壊が進行し、手、膝などの関節が変形してしまった方も何人か経験していますので、高額医療制度などを利用して本当に必要な方には強くお勧めしています。
さらに最近はバイオシミラー(生物学的製剤の後発品)も登場し、先発品の7割程度の価格で注射が可能な製剤も出ています。ただ安全性についてはまだ経過を見る必要があると考えます。
これらの最新の治療法はリウマチ専門医のいる施設でないとなかなか難しいかと考えますので、迷っておられる方はどうぞ当院へご相談下さい。
関節エコーについて
2020年01月26日 11:34土曜日に来られている関西医大の孫先生が関節エコーを行っています。
初期の関節リウマチの診断や、関節リウマチの活動性を評価して治療に役立てています。患者様にとって負担の少ない検査(簡単で痛みを伴わない)ですので、この検査もご希望の方は院長までお申し出下さい。
骨粗しょう症の治療薬について
2020年01月26日 10:30骨粗しょう症の治療薬の中で新しいビスフォスホネート製剤と呼ばれる薬(アクトネル、ボナロンなど)は、顎骨壊死、抜歯後の治療遷延が報告されています。そのため歯科での治療に際して、一時使用を中止しなくてはならない可能性があります。患者様の中で歯科受診される際には、念のため今服用中のお薬を歯科医院で提示されていた方が安心かと思います。この件に関しては歯科の主治医の先生とよくご相談ください。
さらに当院では1週間に1回皮下注射を行う骨形成促進剤である「テリボン」も扱っています。この注射は計72回(約1年半)継続して行います。骨密度を増加させ、骨折を予防する注射です。また、6ヶ月に1回皮下注射を行う骨吸収阻害剤である「プラリア」も扱っています。これらの件に関してもご相談ください。
また2019年からは骨形成促進作用と骨吸収抑制作用の両方を有する新しい治療薬である「イベニティ」も扱っています。
このお薬は毎月1回皮下注射(1回2本)を行い、12か月間行って中止する薬剤です。骨折のリスクをかなり低下させると期待されています。
これらの製剤に関してもご相談下さい。
『検査データの読み方』
2020年01月26日 10:00膠原病患者の皆さんはいろいろな種類の血液検査を受けておられると思います。一般の血液検査から自己免疫の抗核抗体などの検査を受けておられることと思いますが、その一つ一つの意味を理解する事はなかなか難しいと思います。
私が普段診察している患者さんからもある程度の検査結果の意味を教えてほしいという声もあり、今回このコーナーで少しずつ検査データの意味を解説してい きたいと思います。少しは参考にして頂いて、現在のご自分の病気の状態を主治医の先生とよく相談してみてください。
関節内注射について
2020年01月26日 09:50土曜日に来られている孫先生が関節内注射を行っています。膝関節が中心ですが、ヒアルロン酸の局所注射などをご希望の患者様は院長までお申し出ください。
代診のお知らせ
2016年06月06日 23:35現在土曜日(月に2回程度)の午前9:30から関西医大附属枚方病院リウマチ・膠原病科の孫(そん)先生に来て頂き、院長と2診制で診察を行っています。孫先生には主に関節内注射を担当して頂いてます。
なお、土曜日の院長の診察は毎週完全予約制となっておりますので、院長の診察をご希望の患者様はあらかじめ電話で予約をお取りください。ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願い致します。
第5回市民公開講座のご報告
2015年09月25日 23:33第5回市民公開講座が9月6日に予定通り開催されました。約350名の方に参加頂きました。本当にありがとうございました。院長は今回、後半部分の総合司会を担当致しました。(写真参照) また来年第6回の予定が決まりましたら、ご案内させて頂きます。どうぞよろしくお願い致します。
院長
週刊朝日増刊号2008(心と体にやさしい漢方)に院長の記事が掲載
2008年04月05日 23:33この度漢方に関する院長の記事が週刊朝日増刊号2008(心と体にやさしい漢方)に掲載されました。(※2008年4月5日発行 増刊)
オレンジ色の表紙のとても目立つ雑誌で、様々な病気の漢方治療が詳しく掲載されています。
院長の記事はP206−P207の関節リウマチの項目に掲載されています。
一般の書店でもお買い求め可能ですので、よろしければどうぞご覧ください。
院長の記事は以下よりダウンロードしてご覧いただけます。
漢方医学 (Vol.31, No4,2007)に院長の記事が掲載
2007年12月01日 23:32漢方医学(Vol.31, No4,2007)P171−P175に院長の記事が掲載されました。
院長の記事は以下よりダウンロードしてご覧いただけます。
漢方医学 P171 (PDF:2.7MB)
漢方医学 P172 – P173(PDF:8.6MB)
漢方医学 P174 – P175 ((PDF:5.5MB)
豚皮由来 コラーゲンペプチドのご紹介
2007年11月20日 23:32豚皮由来 コラーゲンペプチド【商品名:ペプタイド PSG 】のご紹介です。
コラーゲンペプチドはレイノー現象や関節炎に対して効果があるというデータが出ています。
当院でもこれらの症状に対してコラーゲンの使用を推奨しています。販売は門前薬局が行っています。
ご興味のある方は以下よりダウンロードしてご覧下さい。
豚皮由来 コラーゲンペプチド (PDF:1.5MB)